2018年11月2日金曜日

冬のうつ病について

みなさん、こんにちは。

保健師 竹田です。

11月に入り、朝晩肌寒くなってきましたね。

咳や鼻水など風邪の症状が出ている方もいるようです。体調管理には十分気をつけて下さい。


今日は秋から冬に症状があらわれる「冬季うつ病」についてお話します。

冬季うつ病は、10~12月に症状が出て翌年の3月ごろになると自然に症状が快復するというサイクルを毎年繰り返します。
まだ病気自体あまり知られていないことや、春になると治ってしまうことなどから病気と気づかず、つらい症状があるにもかかわらず我慢したり、放置している人が多いと言われています。

冬季うつ病の症状


うつ病の症状とほぼ同じですが、うつ病でよくみられる不眠や食欲低下による体重減少とは逆に、過眠や過食による体重増加という特有の特徴がみられます。

  • 倦怠感
  • 気力の低下
  • 過眠(1日に10時間以上寝ても眠たくてたまらないなど)
  • 過食(特に炭水化物や甘いものが食べたくなる)
  • 体重増加

上記の症状が明らかに強く出ていて、日常生活に支障をきたすほどの症状が2年以上続くような場合は、冬季うつ病の可能性があります。精神科、心療内科、神経科などの専門の医療機関を受診することをお勧めします。


日照時間がおもな原因


冬季うつ病は、日照時間が深く関係していると考えられています。
人間は、明るい太陽の光を浴びると、目から脳に信号が伝わり、脳内で「脳内神経伝達物質」と呼ばれるセロトニンの作用が増強します。すると、メラトニンというホルモンの分泌が抑制され、体内時計がリセットされます。
メラトニンは睡眠と覚醒の生体リズムを調整する働きや体内時計をリセットする働きをもっており、その分泌が抑制されてから約15時間後に再び活発に分泌されて眠気を催します。ところが、日照不足によってセロトニンの作用が弱いままだと、脳の活動が低下し、メラトニンの分泌の抑制がしっかり行われないため、体が活動モードにスイッチされにくくなり、さらに、睡眠と覚醒のリズムが乱れ、疲れやすい、食欲が抑制できない、気力がなくなり落ち込むなどといった抑うつ状態を促すことになります。

緯度の高い地方の冬は、特に日照時間が短くなるため、冬季うつ病にかかる人の割合も増える傾向があります。また、日当たりの悪い部屋に住んでいる人や、仕事の関係で日光に当たる機会が極端に少ない人は冬ではなくてもかかりやすいといわれています。



冬季うつの対処法


1.栄養バランスの良い食事

食事でセロトニン生成に必要なタンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素を十分に摂取することが大切です。肉、魚、大豆などのタンパク質にはセロトニンの生成に必要な必須アミノ酸のひとつである「トリプトファン」が含まれているので、過不足なく摂ることが勧められます。

2.ウォーキングなどの運動

活発な運動によって、気持ちをコントロールする神経伝達物質のひとつ「ドーパミン」が分泌され、気分が落ち込んでいたり、イライラに悩まされているときに、症状を改善する効果が得られます。

3.自分の感情を話せる相手をみつける

もし身近に自分の感情を話せる人がいないのなら、サポートグループを見つけて、そこで自分の気持ちを話してみよう。なるべく外に出て人に会うことで、気持ちがすっきりするのが実感できます。
直接的な「社会参加」に加え、自然や歴史に触れたり、地域の隠れた名店を探すなどの趣味をもったり、誰かとおしゃべりをしたりすることもきっかけになります。

4.自宅・仕事場を明るくする

季節性うつ病の改善に必要なのは、自然の光により多く当たることです。
とはいえ、冬は日が短くなるので、なかなかそうもいかない場合、自宅や仕事場の照明を明るいものに取り替えると効果的です。

治療では「高照度光療法」が行われることが多く、太陽光やそれと同等の光を浴びることで体内時計を調節して生体リズムを整える治療法で、多くの患者で効果があるといわれています。

5.Todoリストをつくり整理する

「ToDoリスト」を作成し、実行可能なものに優先順序を付けて、自分に合った生産性向上スタイルを身に付けると、自分が取り組むべき目標やタスクが明確になります。タスクからタスクへスムーズに移ることができれば、気分が落ち込むことも少なくなる可能性があります。



今日も一生健命  竹田