保健師 近藤です。
11月になり、朝晩の寒さを感じるとともに、今年もあと少しで終わりだなと感じる今日この頃です。最近よく耳にする『平成最後の○○』を楽しまないといけないですね。
これから忘年会シーズンでお酒を飲む機会も増えてくると思いますが、お酒の飲みすぎなどで上がってくるのが、肝機能の数値です。
皆さんも目にしたことがあると思いますが、肝臓に疾患がある場合に、血液中で上昇する「GOT(AST)」と「GPT(ALT)」、「γ-GTP」です。
「GOT」「GPT」は、どちらもタンパク質を分解してアミノ酸をつくる酵素です。
GOTはほとんどが肝臓に存在するが、GPTは肝臓だけでなく心臓や赤血球、腎臓、筋肉などにも存在します。
GOTとGPTの両方が上昇している場合;肝臓の病気の疑い
GPTのみ上昇している場合;心筋梗塞や筋肉の破壊の疑い
GOTとGPTの正常値は、どちらとも40国際単位以下です。これらが少なすぎることで問題になることはまったくありません。健康診断で問題になるのは、100前後のときです。100以下の場合には、慢性肝炎、肝硬変、脂肪肝などが考えられます。お酒を飲む人の場合は、節酒あるいは禁酒することによって、下がることがあります。慢性肝炎や肝硬変の状態が悪い時期には数百くらいまで上がりますが、回復すると二桁になります。しかし、健康診断で100以下で指摘される多くの場合には、脂肪肝です。
人間ドックなど健診でGOTとGPTの上昇を指摘された場合には・・・
・アルコールを過剰摂取していないか
・肥満ではないか
・最近内服を始めた薬やサプリメントなどがないか
・過度な運動を行っていないか
アルコールの過剰摂取や肥満、薬剤の副作用による肝機能障害が原因で、GOTとGPTの上昇を認めることがある。GPTのみの上昇の場合には、筋肉トレーニングによる筋肉の破壊などの影響の可能性もあります。
「γ-GTP」とは「ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ」のことで、肝臓だけでなく、腎臓や膵臓などに含まれている解毒に関わる酵素です。おもに、肝臓や胆管の細胞に傷がつき、死滅したときに血液中で上昇すると考えられています。
γ-GTPが高い(正常値50以下)と指摘された場合には、肝臓や胆管になにかしらの異常が起きている可能性があり、もっとも多いのは、アルコールの過剰摂取による肝障害だが、一切飲酒をしていない場合でも上昇することがあります。たとえば、薬の副作用による肝障害、脂肪肝、肝炎、肝硬変、肝がんなどが挙げられ、どのような薬でも副作用が出る可能性があり、肝臓は薬剤の代謝に関わるため肝機能障害を引き起こす薬剤は多いです。漢方やサプリメントでも人によっては肝機能障害を起こし、γ-GTPが上昇します。
また、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスに感染している場合にも、肝機能障害が発症し、GOT・GPTが上昇することがあるので、肝炎の検査を1度することもお勧めします。
肝機能異常を起こす生活習慣が思い当たらない場合には、肝臓の機能障害を引き起こす疾患がないかどうか精密検査を行う必要があります。人間ドッグで数値の異常を指摘された場合には、腹部エコーなどを行い、なるべく早く医療機関を受診したほうが良いです。
≪肝臓の疲れでみられる特徴的な症状≫
・体が疲れやすくなった(疲れがとれにくい)…
・お酒を美味しく感じなくなった
・食欲低下(特に脂っこいものを欲しなくなった)
・足がむくむ・お腹が張る
・健診で肝機能異常を指摘された
このような症状がある場合は、早期に医療機関を受診下さい。
アルコールを飲まない方でも脂肪肝になる方もいます。NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)といいます。以前のブログで書いたのでまた参考にして下さい。
(2016.10.28)
(2016.10.28)
週末も天気が良いみたいです。
良い週末を。
次回までSee you again!!