2018年12月7日金曜日

体内時計とストレス

みなさん、こんにちは。

保健師 竹田です。

ここ数日、暖かい日が続いたと思えばまた寒くなるようです。気温の落差が激しいと体調を崩しがちですが、暖かくして過ごしてくださいね。

今日は体内時計とストレスについてお話します。


体内時計とは



私たちの体のほとんどの細胞には体内時計(約24時間周期の概日時計)が存在し、様々な生理機能に昼・夜の情報を与えることで、生体の恒常性維持に役立っています。
一方で、体内時計の乱れは、肥満・糖尿病やがんなどの発症リスクを高めるといわれています。これまでの研究では、ストレスホルモンが体内時計になんらかの影響を与える事が分かっていましたが、ストレスが個体レベルで体内時計にどのように影響を与えるのかは分かっていませんでした。


1.ストレスは、脳や末梢臓器の体内時計の時刻を激しく乱す
拘束ストレスをマウスが寝ている時刻に2時間負荷した結果、肝臓、腎臓、唾液腺、副腎などの体内時計の時刻が早まる事が分かりました。
2.ストレス暴露のタイミングで、体内時計の応答が異なる
夜の始めのストレスでは、肝臓と唾液腺で時計の時刻が真逆になり、さらに腎臓では時計振動がストップしてしまい、体の中で時差ボケ状態になっている事が分かりました。
3.ストレスに慣れると、体内時計も乱れない
週3日間のストレス負荷を5週間続けた結果、ストレスによる体内時計の乱れは見られなくなりました。私たちの体はストレスに対して慣れる機構(ストレス耐性)を持っており、今回の実験結果は、そのような「慣れ」が体内時計のストレス応答にも存在することを示しています。


4.物理的・心理的なストレスが体内時計に影響を与える
拘束のような物理的なストレスだけでなく、心理的なストレスでも体内時計が乱れることがわかりました。

夕・夜のストレスが体内時計に影響



今回の研究で、朝よりも夕・夜のストレスが体内時計をより狂わせることが明らかになりました。
さらに物理的・心理的ストレスにより脳や末梢臓器の体内時計が激しく乱れることや、耐性の獲得により、ストレスで体内時計が乱れなくなることが分かりました。


朝よりも夕方から夜間のストレスが、体内時計をより乱しやすいので注意すべきだと言えます。
夜間交代勤務などのシフトワーカーは時差ボケかつ体内時計が乱れていると考えられていますが、夜勤中のストレス暴露はその影響をさらに強めているかもしれません。

一方で、これまで光や食事が体内時計リセットに重要であると考えられていましたが、ストレスはそれに匹敵するパワーを持っています。
私たちの体内時計は、光や食事によって常に時刻合わせを行っています。よって軽度なストレスは、体内時計を正しい時刻に保つのに重要かもしれません。
運動やトレーニングは、アドレナリン分泌などストレスと似た生理応答を示すので、軽度なストレスとして使用できることが示唆されました。

ストレスは少な過ぎても多過ぎても、体や心の不調をまねきやすくなります。
ストレスの受け方について、体内時計の働きを考慮しながらバランス良く活動することが重要になってくるのではないでしょうか。


今日も一生健命 竹田