2018年8月10日金曜日

脂肪肝を予防・改善するには

みなさん、こんにちは。

保健師 竹田です。

毎日、40度を越える地域もあり異常な暑さが続いています。水分・塩分補給を忘れずに、休息も必要です。

今日は脂肪肝についてお話します。健診で指摘されたことがある方もいらっしゃると思います。


脂肪肝とは?


脂肪肝とは、食べ過ぎや運動不足のために余った糖質や脂質が中性脂肪に変わり、肝臓に過剰にたまって、脂肪が肝臓全体の30%以上を占めるようになった状態をいいます。
日本人における軽度の脂肪肝は、いわゆる肥満体型ではない、見た目がスリムな人にもみられます。
肝臓には痛みなどの症状が出ることはあまりないので、肝臓に異常があっても気付かず、気付いたときには病気がかなり進んでいる場合があります。
日本人間ドック学会が2016年に発表した「全国集計結果」では、人間ドックを受診した人の33.2%で「肝機能異常」がみられ、「高コレステロール」(33.4%)に続いて多い結果でした。「肝機能異常」のある人は、20年前と比較すると10.5ポイント上昇しており、男性の40.2%、女性の22.8%にみられます。

原因は?




  1. 食べ過ぎ:カロリー過剰の食事、特に糖質、脂質に富んだ食べ物をとり過ぎると、皮下脂肪と同じように肝臓にも脂肪がついてしまいます。運動不足も関係しています。
  2. 肥満:脂肪がエネルギーに変わるためにはインスリンが重要な働きをしていますが、太ってくるとその効き目が低下してきます。すると、体中のいろいろな所にある脂肪が離れやすくなり、肝臓に運ばれてたまってきます。また、肝臓の中での脂肪の合成も盛んになります。
  3. アルコール:お酒を飲み過ぎると肝細胞の中での脂肪の入れ替わりがうまくいかなくなり、肝臓に脂肪がたまってきます。
  4. その他:糖尿病や甲状腺・下垂体・副腎などの内分泌の病気があると脂肪肝になることがあります。



脂肪肝があるとインスリン抵抗性が進行


脂肪肝があると、狭心症や心筋梗塞など心疾患の合併率が高いだけでなく、全身でインスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」が進行しやすくなります。
インスリンには肝臓などに作用して血糖値を低下させる作用があるが、その臓器に脂肪が蓄積すると、インスリン抵抗性が生じます。
肥満でなくとも肝臓や骨格筋といったインスリンが作用する臓器に脂肪が蓄積するとインスリン抵抗性が生じます。その結果、高血糖や高インスリン血症になりやすくなります。


運動をすると脂肪肝が改善


筑波大学の研究によると、活発なウォーキングなどの運動を1日に30分以上続けると脂肪肝が改善するといわれています。
研究チームは、食事・運動療法に取り組んでいる31~67歳の肥満の男性169人を対象に、活動量計を使い運動の記録をとり、脂肪肝がどれだけ改善するかを調べました。
その結果、運動量が増えるほど内臓脂肪が減ることが明らかになりました。
ウォーキングなどの有酸素運動を3ヵ月間続けたグループでは、脂肪肝が改善していました。
肝臓などにたまった脂肪は遊離脂肪酸として放出され、運動のための直接的なエネルギー源になります。1週間に250分以上、1日に換算して30分以上の運動を続けると、肝臓にたまった脂肪が減りやすくなります。
遊離脂肪酸が使われるのは、運動を開始して10分後くらいからなので、脂肪を燃焼させるには、運動をある程度の時間続ける必要があります。




糖質を摂り過ぎない


脂肪肝の治療のための食生活改善というと、まず脂っこいものを減らすと考えがちですが、それ以上に気を付けたいのは糖質です。

日常的に糖質を摂り過ぎていると、脂肪肝になりやすいことがわかっています。特に果物の果糖は吸収がよく、肝臓で中性脂肪になりやすいため、注意が必要です。
果物は、旬の味わいとして楽しむ程度がオススメですが、毎日食べたい人は1日に1/2個を目安にして、朝食時に食べましょう。

このように生活スタイルを健康的に変えていけば、脂肪肝を改善できることがさまざまな研究で確かめられています。

生活習慣と定期的な健診で脂肪肝を予防・改善しましょう。

今日も一生健命  竹田