保健師 竹田です。
今日は脳の健康についてお話します。
脳は、心臓などの重要な臓器と同じように、常に十分な量の血液を必要としています。
しかし、年齢を重ねると動脈硬化が進み、血管が徐々に狭くなり、血液の流れ(血流)が悪くなることが多いです。
なかでも、アテロームと呼ばれる脂肪性の沈着物が動脈の内側に蓄積する「アテローム性動脈硬化症」は、心筋梗塞や脳卒中などの原因として知られています。
動脈硬化が進みやすい生活をおくっていると、年齢を重ねてから、認知障害やアルツハイマー病などの危険性が上昇すると言われています。
これは、さまざまな疫学研究の結果をもとに作成されたもので「ライフ シンプル 7」は脳の健康を保ち、理想的な状態を維持するために役立つ可能性があります。
1.血圧を管理する
高血圧があると、細い血管の血液の流れが悪化しやすくなり、十分な酸素と栄養素を心臓と脳に供給するのが難しくなります。
血流の不足は認知機能の低下を引き起こします。さらに、活性酸素が細胞を障害する「酸化ストレス」が亢進しやすくなり、血管内皮の炎症が起こりやすくなります。
高血圧を放置しておくと、脳内で認知症の原因となる物質が増えやすくなります。
高血圧は自覚症状が乏しいので、定期的に検査をすることが重要となります。健康な体重を維持すること、塩分の摂取量を減らすこと、医師に処方してもらった薬をきちんと飲むことが大切です。
2.コレステロールを管理する
脂質異常症によって動脈硬化が進行すると、脳内の血管も硬化が進んでしまい、通常よりも血液の流れが悪くなります。
3.血糖値を下げる
糖尿病のある人ではそうでない人に比べ、アルツハイマー病や血管性認知症の発症リスクが2~4倍に上昇するという報告があります。
糖尿病のある人が、血糖値が高い状態を放置していると、心臓病や脳卒中の危険性も高まります。血糖値をコントロールすれば、これらの合併症を防ぐことができます。
インスリンの不足や、インスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」は、認知症の進行に影響していると考えられています。
動脈硬化が進めば脳梗塞の発症リスクが高くなり、血管性認知症にもなりやすくなるため、糖尿病のある人は血糖コントロールをしっかり行うことが大切です。
4.運動をする
運動を習慣として続ければ、血糖値・血圧値が下がり、悪玉のLDLコレステロールが減り、善玉のHDLコレステロールが増え、骨が丈夫になり骨粗鬆症の予防になります。
酸素は血液によって運ばれ、脳の血管にも酸素を含んだ血液が送り込まれます。脳内の血液が増えることで、脳の神経細胞であるニューロンが作られます。神経細胞を結び付けるシナプスも活発に働くようになります。
5.健康的な食事
食事と認知症の予防の関連は大きいことが最近の研究で分かってきました。
塩分やコレステロールの摂りすぎは動脈硬化を促し、血管を老化させます。不健康な食事により体内の活性酸素が増えると、細胞の新陳代謝が妨げられ、老化が促されます。
カロリーの摂り過ぎを防ぎながら、必要な栄養素をバランス良く摂ることが大切です。 そのために、1日3食をしっかりと食べ、野菜や果物、海藻、大豆食品、魚類などを十分に摂ることが勧められます。
6.標準体重を維持する
特に内臓脂肪が一定以上に多くなると心臓の負担が増え、脳への血流も悪くなります。
肥満に脂質異常や、高血圧、高血糖などが重なると、心臓の負担はさらに増えます。肥満の人は体重を減しただけでも、これらの検査値が改善することが多いです。
脳の血流量を増やし、脳の機能を高めるために、肥満を抑制し、標準体重を維持することが大切です。
7.たばこを吸わない
たばこに含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があります。
たばこを吸う人は、禁煙すれば脳血流を増やせます。脳の働きを正常に保つためには、十分な脳血流量が保たれていることが必要で、禁煙がその役に立ちます。
たばこをやめるだけでこれらの病気のリスクを減らせます。たばこを吸う人はいますぐ禁煙しましょう。そうすれば、数年で心臓病や脳卒中の発症リスクを、非喫煙者と同程度に下げることができる。
脳を健康に保つために、できるだけ若いうちから健康な習慣を身につけることをお勧めします。
今日も一生健命 竹田