みなさん、こんにちは。
保健師 竹田です。
梅雨明けし、蒸し暑い日が続いていますね。水分、塩分補給をしっかりと、適宜冷房を使用して、熱中症には注意してくださいね。
今日は腫瘍マーカー検査についてお話します。
ドックのオプション検査の中に、腫瘍マーカー検査があります。腫瘍マーカーは採血で実施でき、身体の負担も少なく手軽にできる検査です。しかし、名前は聞いたことがあっても、内容について知らない方もいらっしゃるかと思います。
腫瘍マーカーとは
腫瘍は体内の細胞の一部が突然変異して増殖し、しこりのようになった状態をいい、良性と悪性があります。悪性のものが一般的に"がん"と呼ばれています。
体内にがんができると、その種類によっては健康な時にはほとんど見られない特殊な物質が作られ血液中に現れることがあります。この血液中に現れた物質を「腫瘍マーカー」といいます。そしてこの腫瘍マーカーのチェックをする検査が「腫瘍マーカー検査」です。
体内にがんが発生すると、通常変化しないはずの腫瘍マーカーの数値が異常値になります。ただし、腫瘍マーカーの結果が高値であるからといって、がんであるとは判断できません。あくまでひとつの判断材料であるとされています。
必ずしもがん(悪性腫瘍)で高くなるわけではなく、良性腫瘍や膵炎、胆嚢炎、胆管炎などの炎症性疾患や、胆石症、肝炎、糖尿病、気管支炎、気管支拡張症、子宮内膜症など、がん以外の病気でも上昇することがあります。
つまり、「がんであるときにしか産生されない物質」ではなく、がん以外の病気でも上昇することがあります。また、がんだとしてもどの臓器にできたか判断することまではできません。そのため、腫瘍マーカーは検査の補助的手段として、また治療効果の判定に用いられることが一般的です。
腫瘍マーカーの種類
CEA
CEAは胎児の早期の受精卵細胞と共通する物質で、この数値が高くなる場合、大腸癌、肺癌などの消化器系の癌の可能性が考えられます。異常値を示す場合、悪性腫瘍(膵癌、大腸癌、胃癌、胆道癌、原発性肝癌、転移性肝癌、食道癌、肺癌、乳癌、甲状腺癌など)を疑い、他に、肝硬変、肝炎、膵炎、甲状腺機能低下症などでも上がることがあります。
ただ、個人差が大きく、すべての癌患者で異常が見つかるわけではありません。また喫煙量に比例して上昇しますので、長期喫煙者の方は受診の際には注意が必要です。
CA19-9
CA19-9は膵管や胆管などをはじめ、消化管や気管支腺、子宮内膜などに多く存在するたんぱく質です。消化器がんの中でも、とくに膵臓・胆のう・胆管に特異性がでる腫瘍マーカーです。消化器がんの他に子宮体がん、卵巣がん、肺がんでも高くなることがあり、良性疾患では膵炎、胆嚢炎、胆管炎や、胆石症、肝炎、糖尿病、気管支炎、気管支拡張症、子宮内膜症など、がん以外の病気でも高い値を示すことがあります。
PSA
PSA検査は前立腺がんを早期発見するために有用な検査です。がんや炎症により前立腺組織が壊れると、PSAが血液中に増加します。PSAが高い場合に考えられる疾患は前立腺がん、前立腺肥大症、前立腺炎などを疑います。
CA125
CA125は卵巣がん、子宮体がんに特異性がでる腫瘍マーカーです。そのほか子宮内膜症、子宮筋腫、良性卵巣嚢腫にも反応します。そのため、CA125は女性特有の疾患リスクに幅広く対応する腫瘍マーカーといわれています。
またCA125は女性ホルモンのエストロゲンという物質によって生成が促されるため、生理(月経)時に上昇する性質があり、なかには異常値の範囲まで上昇するケースもあります。
AFP
AFPは、もともと妊娠早期の胎児にみられる血清蛋白の一種です。健康な成人の血液に含まれず、原発性肝癌の患者の95%の血液に含まれるため、肝癌の腫瘍マーカーとして用いられています。AFPは肝炎や肝硬変でも測定値が上昇します。
この検査は、腫瘍マーカー検査を含む人間ドックコースを選択する、またはオプションにて腫瘍マーカー検査を追加することで受診できます。他の検査(CT検査や内視鏡検査などの画像診断)と併用したうえで、それぞれの苦手部分を補足する方法で総合的にがんのリスクを判断します。そして腫瘍マーカーが一定以上の値を示した場合は、さらに詳しい検査を行い、確定診断を行う必要があります。腫瘍マーカー検査だけでがんリスクの判定ができないことは認識しておきましょう。
今日も一生健命 竹田