2022年5月20日金曜日

膵臓を大切に

みなさん、こんにちは。

保健師 竹田です。

連休が終わったと思えば、あっという間に5月も後半戦ですね。朝晩肌寒いかと思えば日中は暑かったり、服の調節が難しい時期です。体調管理はしっかりと、毎日元気に過ごしましょう。

今日は膵臓についてお話します。

膵臓とは


膵臓はおなかの上の方、胃の後ろ側にある、長さ20センチメートルほどの左右に細長い臓器です。右側のふくらんだ部分は頭部といい、十二指腸に囲まれています。
左側の幅が狭くなっている部分は尾部(びぶ)といい、脾臓(ひぞう)に接しています。膵臓の真ん中は体部といいます。膵臓の中は、膵管という細長い管が通っていて、これが網の目のように膵臓内の細胞へと分かれます。



膵臓の働きには、食べ物の中のタンパク質を溶かす「膵液」という消化液を作って膵管から十二指腸に出す「外分泌機能」と、血糖や消化液の量を調節するホルモン(インスリン、グルカゴン、ガストリンなど)を作って血液に出す「内分泌機能」があります。

よって膵臓の働きが低下すると、消化不良をきたし下痢になったり腸にガスがたまったりします。また血糖コントロールが不良となり糖尿病になります。

膵臓の働きが低下する要因として、先天的に膵臓の働きが弱い場合や、膵臓のインスリンを出す細胞(β細胞)が自己免疫の異常などにより破壊されることで発症する一型糖尿病などが挙げられます。

しかし、こうした要因がなくても過度の飲酒や喫煙などの生活習慣によって膵臓が炎症をきたしそれを繰り返すうちに、機能が徐々に低下する場合があります。その代表が「膵炎」で、「急性膵炎」と「慢性膵炎」があります。


急性膵炎の原因


急性膵炎とは、膵臓に急激な炎症が発生する病気です。前ぶれもなく、ある日突然発症し、激烈な痛みを伴う例が多く見られます。痛みはみぞおちからへそにかけての腹部に起こることが多いですが、膵臓に近い背中や腰などまで広がる場合もあります。
急性膵炎の2大原因は、アルコールと胆石です。

1.アルコール性
正常な状態のときは膵臓で作られた膵液が膵管という管を通って膵臓から十二指腸へと流れ出た際に、膵液に含まれる消化酵素が活性化されて食べ物を消化します。
しかしアルコールの取り過ぎが続くと、十二指腸に流れ出る前に膵液の消化酵素が膵臓内で活性化する場合があります。すると膵液が膵臓そのものを溶かしてしまうため、急激な炎症が起こるのです。

2.胆石性
胆石は、肝臓で作られ「胆管」を通って、十二指腸へと分泌される消化液「胆汁」に含まれるコレステロールなどの成分が胆のう内で結晶化し、徐々に増大したものです。
胆のうがつながっている胆管と膵管は、十二指腸に流れ出る直前で合流する(共通管)ので、胆石がこの管の中に詰まると腸管も詰まって胆汁だけでなく膵液の流れも止まり、消化酵素が膵臓の中で活性化されて急激に炎症をきたすことがあります。
胆石の原因は明らかになっていませんが、油っぽい食品の取り過ぎや過食、ストレスなどが関係しているといわれています。




慢性膵炎とは


慢性膵炎とは、膵臓の正常な細胞が壊れ、膵臓が線維に置き換わる病期です。
慢性膵炎の原因は、男性では飲酒が最も多く、女性では原因不明の特発性が多くみられます。
慢性膵炎では、膵液の通り道である膵管が細くなったり、膵管の中に膵石ができたりして、膵液の流れが悪くなり、痛みが生じると考えられています。
慢性膵炎の初期段階では、膵臓の機能は保たれており(代償期)、腹痛が主な症状です。慢性膵炎が進行すると、次第に膵臓の機能が低下し(移行期)、さらに進行すると、膵臓の機能は著しく低下し(非代償期)、消化不良をともなう下痢や体重減少、糖尿病の発症や悪化が生じます。


膵炎を予防するために


予防に重要なことは、まずアルコールの過剰摂取を避けることです。
アルコールをどの程度飲むとリスクが高くなるかは断言できませんが、一般的な1日のアルコール適正量は純アルコールで20gほどと言われています。
お酒の種類別に換算すると以下のようになるので参考にしてください。



・ビール … 中瓶1本(500ml)以下

・日本酒 … 1合(180ml)以下

・焼酎 … 200mlのグラス半分以下

・ワイン … グラス1杯(120ml)以下

また、脂肪分の多い食事や食べすぎも膵臓への負担が大きくなります。
ケーキやスナック類をよく食べる人や、毎日の食事で揚げ物や炒め物が多いという人は食生活の見直しが必要です。腹八分目を心がけ、低脂肪食を中心とした食事に変更して膵臓への負担を軽くしましょう。


今日も一生健命 竹田