2020年11月27日金曜日

冬は腎臓に気をつけて

みなさん、こんにちは。

保健師 竹田です。

11月も終わりにさしかかり、早いもので12月ですね。11月もあっという間に過ぎてしまった感じがしますが、12月はもっと早そうです。今年はコロナ一色でしたが、1年を振り返る12月にしたいですね。

今日は腎臓についてお話します。

冬は腎臓の病気が悪くなりやすいといわれる季節です。冬が腎臓に悪い影響を及ぼす理由には、つぎのようなことがあげられます。

 その1:血圧が高くなる
 その2:むくみが出やすくなる
 その3:心臓の病気(心筋梗塞)、脳の血管の病気(脳出血)が出やすい
 その4:かぜやインフルエンザにかかりやすくなる


腎臓病とは

腎臓病は、その名の通り、腎臓のはたらきが悪くなる病気です。腎臓は体の中の毒素や老廃物の除去、水分の調節といった、生命を維持し、身体の環境を一定に保つ大切な役割を担っており、腎臓に問題が起こると身体中にさまざまな影響がでます。

一度失われた腎臓の機能は、多くの場合は回復することがなく、慢性の腎不全となります(急性の腎臓機能障害の場合など、例外はあります)。さらに腎臓の機能が低下し腎不全が進行すると、体の中に老廃物がたまり、尿毒症の症状が現れます。たまった老廃物を取り除くためには、腹膜透析(PD)血液透析(HD)といった透析療法、あるいは腎移植といったなんらかの腎代替療法が必要になります。


種類は

  • 慢性腎炎
何らかの原因で腎臓内にある糸球体に障害が起こる病気です。全身性の疾患が、背後に隠れているケースもあります。
健康診断でたんぱく尿を指摘されて発覚したり、他の病気の治療中に発見されるケースもあります。ネフローゼ症候群(後述)の状態では、浮腫(むくみ)を訴え、病院にかかるケースもあります。
腎生検を行い実際に腎臓の組織をみることで診断を確定します。治療は原因となる疾患により異なりますが、主としてステロイド(副腎皮質ホルモン)の内服加療などを行います。

  • 糖尿病性腎症
糖尿病に由来する腎臓病です。現在、透析患者さんの導入原因の第一位(約40%)を占めています。
糖尿病による高血糖状態は、糸球体にも障害を起こし、その結果、最初は微量アルブミンたんぱく尿とよばれる尿が見られるようになります。後述のネフローゼ症候群の状態になることもあります。
さらに腎障害が進行すると腎臓の機能は徐々に失われ、血液をろ過する働きが悪くなります。

  • 腎硬化症
高血圧や動脈硬化症に由来する腎臓病です。高血圧や動脈硬化症になると、腎臓の細い血管が硬くなり、血液が流れにくくなります。血行障害は、糸球体などの腎臓の組織に障害をおこし、腎不全へ進行します。

  • 多発性のう胞腎
腎臓にのう胞(液体が溜まった袋)がたくさんできて腎臓を圧迫し、腎臓の機能が低下する遺伝性の病気です。脳動脈瘤など、特有の合併症をともなっていることがあります。
このほか、「急性腎炎」「腎盂腎炎(じんうじんえん)」などがありますが、どの病気であっても、治療せずに放置すれば、最後には腎不全にいたる可能性があります。

  • ネフローゼ症候群

腎臓病の一種類としてよく聞かれる「ネフローゼ症候群」とは、何らかの原因で腎臓に障害が起こることにより、たんぱく質が尿中へ排出されてしまう状態をさします。単一の病気をさす言葉ではありません。


症状は


蛋白尿
たんぱくは腎臓の糸球体とよばれる部位でろ過されますが、尿細管という部位で再度吸収されて血液中へ戻るため、尿中に含まれることはありません。あるとしてもごくわずかの量のみです。明らかなたんぱく尿が認められる場合には、腎臓の病気がかくれている可能性があります。

血尿

赤血球は健康な人でも尿中に排泄されていますが、尿中にもれる量はほとんどありません。しかし、腎臓の糸球体から尿管、膀胱までになんらかの障害があると、尿の中に赤血球が混じることがあります。肉眼ではわからない顕微鏡で見える程度の顕微鏡的血尿から、茶褐色尿~鮮血の肉眼的血尿までさまざまな程度で観察されます。

むくみ

むくみは水分の排泄が十分に行われず、身体の中に余分な水分が溜まるために起こります。腎臓の機能が低下すると体内の余分な水分や塩分が十分に排泄されず、水分量のコントロールができなくなります。すると、体にたまった余分な水分がむくみとして観察されるのです。むくみは腎臓の機能の低下以外の原因(たとえば心臓の機能の低下など)でも起こりうるので、しっかり原因を突き止めたうえで治療をすることが大切です。

高血圧

腎臓は塩分の排泄や、内分泌機能のレニン系を介した血圧を調節する機能をはじめとして、血圧コントロールにおいて重要な役割を担っています。このため、腎臓の機能が低下してくると高血圧を来たしやすくなります。
高血圧は、頭痛や肩こり、吐き気などの症状を引き起こします。

尿量の増減

腎臓の機能が低下してくると尿を濃縮できなくなり、しばしば尿量が多め(多尿)になるということもあります。夜中に何度も尿が出る夜間多尿は腎臓病の最も早い自覚症状です。腎臓の機能が40%位になると出現します。
しかし、腎臓病がさらにすすむと、尿をつくることができなくなるため、最終的には尿量が減ってきます(乏尿)。
腎臓の機能がなくなり、まったく腎臓が働かなくなると、尿はつくられなくなり、尿量は1日100ml未満となります(無尿)。

日常生活での注意


  • 過労を避け、規則正しい生活を送る

睡眠不足や不規則な生活は腎臓に負担をかけます。身体への過剰な負担を避けるためにも、規則正しい生活を心がけましょう。
  • ストレスをためない
ストレスは腎臓への血流を低下させることなどから、腎機能の低下を招きます。趣味の時間をもつなどして、なるべくストレスをためないようにしましょう。

  • 身体を動かしすぎない
過度の運動は、腎臓に負担をかける可能性があります。このため、腎臓病の程度によっては運動の制限が必要になってきます。腎臓病の原因疾患や進行度によって、運動の制限は異なります。
適度な運動は体力を維持するためにも必要ですので、実際にどの程度の運動をすればいいのか、主治医や看護師など、医療スタッフに相談するようにしましょう。

健康診断の結果で(たんぱく尿など)腎臓の病気が疑われる場合には、必ず医療機関へ足を運びましょう。

今日も一生健命 竹田