2019年12月6日金曜日

お酒と肝臓の話

皆さん、こんにちは。
保健師 近藤です。

12月がはじまって、ますます忙しさを感じる今日この頃です。
忙しさとともに、体調も崩しやすい時期にもなるので、年末年始を楽しく過ごすためにも、免疫力を高めるためにも早めの睡眠で、乗り切っていきましょう!!

今日はこの時期から忘年会などでお酒を飲む機会も増えてくると思いますので、それについてお話をしていきたいと思います。



アルコールは胃や腸で吸収されたあと、肝臓に運ばれて、「アセトアルデヒド」という有害物質に分解されます。最終的に二酸化炭素と水になって排泄されます。

この時活躍するアルコールを分解する酵素を多くからだに持っているかどうかは、ほとんど遺伝的に決まっています。つまり、飲むことを鍛えようとしても、お酒に強くなれるわけではありません。

このアセトアルデヒドを分解してくれるのが「ALDH2(アルデヒド脱水素酵素2)」になるのですが、日本人は約40%の人がこのALDH2の活性が弱い「低活性型」のため、お酒に弱い体質といわれています。さらに約4%の人は「不活性型」と呼ばれ、ALDH2の働きが全くなく、お酒を飲めない体質なのです。
この両タイプの人たちは、ごく少量のお酒でも、気分が悪くなってしまうため、無理な飲酒はやめましょう。また、一緒に飲んでいる人もこのタイプの人たちにお酒を無理強いすることは絶対に慎んでください。


ちなみに、ALDH2「不活性型」の人は、実はモンゴロイド系の人々に特有のもので、ヨーロッパ系(白人)やアフリカ系(黒人)の人々にはこの「不活性型」はみられません。日本人は欧米人に比べてお酒に弱いと言われるのはこのことが関係しています。 

お酒の弱い人は、
短時間に多量のアルコールを飲むと、肝臓での処理が間に合わず、血中のアセトアルデヒドの濃度が上昇して、顔が赤くなり動悸や頭痛、吐き気を起こします。さらに肝臓の処理能力を超えると、翌日になっても頭痛や吐き気、めまい、食欲不振、不快感などが残ります。これが二日酔いです。また、体調が悪かったり、たくさん飲む日が続くと、肝臓が疲れ、慢性的にアルコール処理能力が低下します。

アルコール代謝は肝臓の仕事です。お酒を飲んでいる最中、肝臓は必死に働いています。肝臓がアルコールを分解できる能力は、日本酒なら1時間でたったの0.3合。飲みすぎの習慣は肝臓に障害をもたらします。


さらに飲み続けますと、脂肪肝になります。脂肪肝とは、肝細胞内に中性脂肪が溜まることをいいます。アルコールによって脂肪の分解が抑えられ、同時に脂肪の合成が促進されることが原因です。これが進行すると、アルコール性肝炎や肝硬変を引き起こします。肝炎とは、肝細胞が破壊されることをいい、肝硬変とは、肝細胞が繊維化して肝臓が硬くなることを指します。アルコールの大量摂取は胃潰瘍、糖尿病、不整脈、高血圧などが起こりやすくなります。

ほとんどの場合、肥満やアルコールや糖尿病や脂質異常症が脂肪肝の原因になっていますので、治療としては、節酒、ダイエット、運動が基本になります。

肝臓の機能が低下するとビタミン不足にもなりやすくなりますので、ビタミンと繊維質が同時にとれるみかんやりんごなどの果物が肝機能向上に有効です。今はりんごとみかんが美味しい時期です。食後のフルーツにおやつにぜひ、りんごとみかんを召しあがってください。


皆さんもお酒の飲みすぎには気をつけ、楽しくお酒を飲みたいものですね。

では、良い週末を。