2018年7月27日金曜日

夏に多い脳梗塞

みなさん、こんにちは。

保健師 竹田です。

厳しい暑さが続いています。引き続き、熱中症にご注意下さい。

今日は夏の脳卒中についてお話します。

脳卒中(脳血管障害)は冬場に多いというイメージがありますが、夏と冬では脳卒中の発症率が異なります。
国立循環器病センターの調査では、脳卒中(脳梗塞)は6~8月の夏に多く発症することを明らかにしました。

脳卒中とは


脳の血管が破れたりつまったりして、その先の細胞に栄養が届かなくなり、やがてはそれらの細胞が壊死を起こす病気です。
発症した場合、たとえ一命を取りとめても重度の後遺症を残す人も多くみられます。
また、寝たきりなど重度要介護の原因の4割、認知症の原因の3~4割は、脳卒中がきっかけとなっています。

脳卒中の分類


脳卒中は、血管が詰まるタイプ「脳梗塞」と血管が破れるタイプ「脳出血」「クモ膜下出血」に分けられます。
これらのうち「脳梗塞」は、日本における発症率が高く、その発症は夏に増加すると言われています。

脳卒中のタイプにより発生しやすい時期が違う


冬に多い脳卒中は脳出血とクモ膜下出血です。冬は体内の熱を放散しないように血管が収縮するので血圧が上昇し、血管が破れやすくなります。
一方、脳梗塞の発症は夏が多くなっています。その理由の一つに、夏は大量の汗をかくため体が脱水状態になりやすいことがあげられます。脱水が起きると血液中の水分が不足し、血液が粘度を増し、血のかたまり(血栓)ができやすくなります。

また、水分不足により体内を循環する血液量も減少して、血管が詰まりやすくなります。
寒さで血圧が上がりやすい冬とは逆に、夏は体の熱を放出しようと末梢血管が拡張し、体は血圧低下状態になっています。
この場合、健康な人は血流が悪くならないように脳の調節機能が働きます。しかし、生理機能が低下している高齢者、または降圧剤などを服用している人は薬による血管拡張作用のために血圧が下がり、血流が遅くなることで血栓ができやすい状態にあります。

脳梗塞の前兆


体の片側の手足に力が入らない、半身のしびれ、ろれつが回らない、言葉が出てこない、物が二重に見える、重いめまい、激しい頭痛、ふらつく、歩行困難などの症状が現れます。
これらは「一過性脳虚血発作」と呼ばれ、小さな血栓が一時的に血管を詰まらせて起きる症状です。
時間にして数分から数十分程度で、一日も経つと症状が治まってしまうので、そのまま放置する人が多く、これが事態を悪化させています。
この段階で脳梗塞を疑い、一刻も早く脳神経外科で検査してもらうことが重要です。

予防と対策


脳梗塞が集中して発症する時期と時間帯は、6月から8月の夏場、睡眠中と朝の起床後2時間以内です。
起床時には血圧が上昇するので、就寝前と起床後にコップ一杯ずつの水を飲むことが脳梗塞予防につながるといわれています。
夏の多汗、高齢者は脱水になりやすく、これは血液の流れを悪くする要因になります。適度な水分摂取は脱水を防ぎ、脳梗塞だけでなく熱中症の予防にもなります。
ただし、脳梗塞は夏の発症が多いといっても、それ以外の季節には少ないわけではありません。脳梗塞の発症は加齢や生活習慣と深くかかわっています。
脳梗塞の3大危険因子といわれる高血圧、高血糖、脂質異常の予防・改善には、食事や運動、喫煙、飲酒など生活習慣の改善が大変重要です。
食事では塩分や脂質、エネルギーをとり過ぎない、運動を日常生活に取り入れる、禁煙する、お酒は飲みすぎないなど、生活習慣を改善することが、脳梗塞、ひいては生活習慣病全般の予防・改善につながります。


脳卒中予防10か条(日本脳卒中協会より)

  1. 手始めに 高血圧から 治しましょう
  1. 糖尿病 放っておいたら 悔い残る
  1. 不整脈 見つかり次第 すぐ受診
  1. 予防には タバコを止める 意志を持て
  1. アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
  1. 高すぎる コレステロールも 見逃すな
  1. お食事の 塩分・脂肪 控えめに
  1. 体力に 合った運動 続けよう
  1. 万病の 引き金になる 太りすぎ
  1. 脳卒中 起きたらすぐに 病院へ


今日も一生健命 竹田