みなさん、こんにちは。
保健師 竹田です。
以前より暖かい日も増え、少しずつ春が近づいていると感じます。コロナ禍でも、春の自然を感じながら過ごしたいですね。
今日はHSPについてお話します。
HSPとは
「非常に感受性が強く敏感な気質もった人」という意味で、「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」と呼び頭文字をとって「HSP(エイチ・エス・ピー」と呼ばれています。
HSPは環境や性格などの後天的なものではなく、先天的な気質、生まれ持った性質であることがわかっています。
統計的には人口の15%~20%。5人に1人があてはまる『性質』であり、稀ではありませんが、裏を返せば、約8割の人はこの性質にはあてはまらないため、HSPの特性は共感を得ることが難しく、HSPでない人たちとの差に自己嫌悪を感じることや、まわりに合わせようと無理をして生きづらさを感じやすくなる性質といえます。
特徴
- 深く情報を処理する
場や人の空気を深く読み取る能力に長けていますが、情報を読み取りすぎるために必要以上に疲れてしまう原因にもなります。
- 過剰な刺激を受けやすい
外部からの刺激に敏感なため、人混みや物音・光、食べ物の味やにおい、身につけるもの、気候の変化、人が発するエネルギー等、五感で受ける刺激に対して過度に反応する傾向があります。さらに、相手の感情や周りの雰囲気、気候の変化や電波(電磁波)、目に見えないエネルギー(人が発するものも含む)に対しても敏感に反応しやすいとされています。
- 共感しやすい
親や自分の周りの人の感情を読み取り、自分を合わせることが多いのも特徴の一つです。また小説やドラマなどで、作品に強く感情移入することもあります。
- 感覚が鋭い
冷蔵庫などの電化製品の音や時計の秒針の音など、些細な生活音が気になってしまう。
人の体臭や口臭、タバコ臭などに対して、すぐに気分が悪くなる。肌着のタグやチクチクする素材が気になる、など。あらゆる感覚が鋭いため、集中したい時に気が散って集中できなくなることがあります。
HSPの人は、感覚的な刺激に対して無意識的・反射的に対応する脳の部位、「扁桃体」の機能が過剰に働きがちで、HSPではない人と比べて刺激に強く反応し、不安や恐怖を感じやすいことが分かっています。
持って生まれたものなので、変えることはできません。しかし、周りよりもよく気づくこと、物事を深く捉えられることは、大きな長所になります。
HSPの人は自分自身を正しく理解し、周りにも理解してもらうことでストレスを軽減し、その能力を活かすことができます。
長所
- 物事を深く探究し、多角的な視点で捉えることができる
- 相手の気持ちの変化にすぐ気づくことができ、相手の立場に立って行動できる
- 映画や音楽などの芸術に対して大きな感動を味わえる
- 周囲をよく観察して、環境変化に気づき、対応しやすい など
HSPの人が抱えやすい悩み
- 周りの人に「敏感」「内気」と言われることが多い
- 生活の急な変化に弱く、動揺してしまう
- たくさんのタスクをこなさなければならなくなると、混乱してしまう
- 大きな音や強い光が苦手
- 些細なことでも、深く考えすぎてしまう
- 芸術に触れると大きく心を動かされる
- 忙しくなると、一人で静かに過ごせる刺激の少ない場所にこもりたくなる
- 他人の気分に振り回されやすく、対人関係に疲れがち
- 小さな音や匂いも気になってしまう
- 映画やドラマの暴力的なシーンが苦手
うまく付き合うには
HSPは病気や障害ではなく、生まれ持った特性(気質)ですので、「治療する」ことはできませんし、その対象でもありません。しかし、自分の行動や環境を変えることで対処することが可能です。
視覚:周りが見えすぎないようにメガネをかける、
メガネの度を下げる、寝るときにはアイマスクをする
聴覚:イヤホンをして好きな音楽を聴く、耳栓を付けて雑音をシャットアウトする
触覚:肌触りのいい素材の服、締め付けすぎず、心地よいと感じるものを身に付ける
嗅覚:マスクで鼻を覆って隠す、お気に入りの香りのアイテムを持ち歩いて時々香りをかぐ
繊細・敏感であること、HSPは病気ではなく、あくまでその人の気質であり個性です。
もし、どうしても辛い場合は専門機関でカウンセリングを受けるのも一つの方法。上手に付き合って、良い面を活かしていけるとよいですね。
今日も一生健命 竹田