保健師 竹田です。
7月に突入し、2021年も半分が過ぎましたね。あっという間の半年という感じで、コロナ禍での心残りもありますが、残り半年も一日一日大事に過ごしたいです。
今日は大人のアレルギーについてお話します。
食物アレルギーは、食べ物に含まれるタンパク質を、身体が何らかの理由で異物だと認識し、かゆみ、蕁麻疹、咳、嘔吐、下痢、呼吸困難などを引き起こす疾患です。
発症は6歳以下が80%を占め、最も患者数が多いのは0〜1歳。多くは年齢が上がるとともに治っていきますが、大人でも突然発症するケースがあります。
乳児は10人に1人、3歳児は20人に1人、成人では100人に1〜2人の割合といわれています。
子どもの場合、3大アレルゲンと呼ばれる鶏卵、乳、小麦で起こることが多いですが、大人は野菜や果物、小麦や蕎麦、甲殻類などで起こることもあります。発症する年齢が遅いほど治りにくく、大人の食品アレルギーは一度かかると完治しない可能性が高いといわれています。
突然アレルギーを発症する理由についてはすべて分かっているわけではありませんが、ひとつに遺伝が挙げられます。例えば、親がアレルギー体質だと子どももアレルギーになりやすいという傾向があります。
また、疲れているなど体調がすぐれないときに発症しやすい、ということもいえます。似たような症状があっても、食物アレルギーとは別の病気のこともあるので、一度調べてみるといいでしょう。血液検査でまとめて複数の原因物質について調べられます。
花粉症との関係も
食物アレルギーにもタイプがあります。ひとつは、甲殻類やそばなどの食物による通常の食物アレルギー。もうひとつは、「口腔アレルギー症候群(OAS)」です。原因となる食品を食べると直後に口の中やのどがイガイガしたりかゆくなったりする超急性型のアレルギーで、リンゴやモモ、キウイなどで起こります。
これは、花粉症との関連が非常に強いことが分かってきました。例えば、シラカバ花粉症の人は、多くの場合、リンゴやモモなどバラ科の果物でアレルギー症状が起きます。シラカバ花粉と似た構造の成分(抗原)を持つ果物にも反応してしまうのです(交差反応)。カモガヤなどイネ科の花粉症は、メロンやスイカといったウリ科の果物と関連性があります。
また、ゴム手袋などを常用する人に見られる「ラテックスアレルギー」も交差反応があり、バナナ、アボカド、キウイなどでアレルギー反応が起きます。
食べて運動すると起きるアレルギーも
食物依存性運動誘発アナフィラキシーです。これは、小麦食品を食べてから30分~2時間以内に運動するとアナフィラキシーを起こす、というものです。運動部の学生が昼食にラーメンを食べ、その後トレーニングを行う、といった場合などに見られます。激しい運動だけでなく、散歩程度でも発症することがあります。
このタイプのアレルギーは、一般の小麦による食物アレルギーとは原因となる成分が異なります。一般の小麦アレルギーの原因物質はアルブミンなど水に溶ける成分です。一方、食物依存性運動誘発アナフィラキシーは、小麦に含まれるグルテンやオメガ5グリアジンという水に溶けない成分が原因となります。これは一般のアレルギー検査では調べることができません。小麦アレルギーがある人や自分がアレルギー体質だと思う人は、一度検査を受けてみることをお勧めします。
体調が悪いときは食事に注意
まず、大人の食物アレルギーは、毎日のように食べるものが原因になるケースがあります。たとえばチョコレートやヨーグルト、卵など、当たり前のように毎日口にするものには、注意が必要です。もし「これが原因かも?」と思ったら、数週間、その食べ物を口にしないようにしてみましょう。
そして、食べていた時期と、控えた時期の体調を比べ、原因となる食べ物がどれくらい身体に影響を与えているのかを検証します。
食物アレルギーは、いつ、誰が発症してもおかしくないものですが、体調の悪さが引き金になることも多いので、疲れているときには原因になりやすい食材を避けるのも一策です。
今日も一生健命 竹田