保健師 竹田です。
ゴールデンウィークはどのように過ごされましたか?コロナ禍での連休は何をしようか悩みましたが、のんびり過ごすことができて良かったです。
今日はコロナ禍2年目の5月病予防についてお話します。
新年度を迎え、新社会人をはじめ転職や異動など新しい環境で仕事を始める人も多いことでしょう。しかし、ゴールデンウィークを過ぎてひと段落する頃から、にわかに「やる気が出ない」「ふさぎこむ」という症状が現れる人がいます。俗にいう「5月病」です。
研修を経て5月から実際に仕事を始めるという新社会人の場合、これらの症状が6月に見られるため、「6月病」とも呼ばれます。5月病、6月病のいずれにしても、環境の変化に伴う心身の負担、ストレスが主な原因です。
「5月病」は正式な医学用語ではありません。医療機関では「適応障害」「軽度のうつ」といった診断名がつけられることもあります。
5月病の原因
- 新しい環境についていけない
新しい配属先の仕事が合わない、残業が多い、ノルマが厳しいといった職場環境がストレスに。また、転勤に伴う引っ越しや単身赴任など、生活環境の変化もストレスの原因。特に新社会人の場合、学生時代に比べて環境が大きく変わるため、5月病にかかりやすい傾向にあります。
- 新しい人間関係をうまく築けない
新しい配属先や転職先で上司や同僚に質問や相談がしづらいことも。それ以外にも、すでにできあがっている人間関係の中にとけ込めない、職場の雰囲気になじめないなど、環境に適応できないことがストレスとなってしまいます。
- 理想と現実のギャップが埋められない
新しい配属先や転職先で思うように自分のキャリアが生かせない、スキル不足を痛感するなど、異動・転職前後で仕事や職場のイメージが違い過ぎることで受けるショックが大きいほど5月病にかかりやすくなります。
5月病を防ぐためには、まず異変に気付くこと、セルフケア、そして周囲のサポートが大事です。予防対策のファーストステップとして、まず次のようなサインに気付くことです。
5月病のサイン
睡眠の変化:朝早く目が覚める・夢ばかり見て熟睡感がない・夜中に何度も目が覚る・寝つきが悪い・朝おきられないなど
食欲の変化:食べてもおいしくない・食欲低下・過食
体調の変化:倦怠(けんたい)感・頭痛・肩こり・吐き気・胃腸障害・下痢が続く・めまいなど
気分の変化:やる気が出ない・おっくう・憂うつ・怒りっぽい・いらいらする
行動の変化:仕事がのろくなる・物事が決められない・掃除や片付けができない
2週間ほどこうしたサインが続いた場合は医療機関につなぐことが大事です。
セルフケア
1.身体を動かす機会を作る
散歩やストレッチなど時間を決めて身体を動かす習慣をつけることは5月病対策として有効です。身体を動かし緩めることにより気持ちが解放されます。仕事の合間でも定期的に身体をリラックスする時間を作るようにすることも大事です。
2.太陽の光を浴びる
朝、太陽の光を浴びると14時間から16時間後に睡眠を誘導するホルモンのメラトニンが分泌されます。睡眠のリズムは生活リズムを整える上で非常に重要です。朝の起床時間を一定にして少し眠くても起床して窓を開け光を浴びる習慣をつけると有効です。
3.生活リズムの見直しをする
朝の起床時間、就寝時間、食事時間などをできるだけ一定にして休日でも2時間以上の時差が生まれないように整えておくと、生活リズムはキープしやすいといえます。
生活リズムを整え自律神経の乱れを防ぐことが大事です。食事時間を一定にしておくと胃腸の働きを保ち自律神経の乱れを防ぐことができます。巣ごもり生活でついだらだら食べてしまうという方もいますが、これは避けた方がいいといえます。
4.周囲とのコミュニケーションを大事にする
何か変だな、と自分で感じたときは周囲にSOSを出すことをためらわないでください。趣味が同じ友達とのオンラインで話し合える時間を定期的に作ることなども、孤独感を軽くし適応障害を予防することに役立つはずです。
「5月病」の多くは一過性の症状であり、適度な休息などで改善されることがほとんどです。ただし、会社や仕事が苦痛に感じるなど、仕事に支障が出るような重症の場合は早めに医療機関を受診しましょう。
今日も一生健命 竹田