2020年12月9日水曜日

膀胱炎に注意

 こんにちは、山内です。

あと3週間で今年も終わりますね。時が過ぎるのが早く感じてしまいます。

来週は、さらに寒くなるようですので、体調には十分お気をつけ下さい。

今回は、膀胱炎についてお話します。

「膀胱」は、内面が伸縮性のやわらかい粘膜でできた袋で、この粘膜が伸び縮みすることで尿を溜めることができるようになっています。

その膀胱が炎症を起こすのが「膀胱炎」です。

膀胱炎の多くは、細菌の感染が原因で、外尿道口から大腸菌などの腸内細菌が侵入し、膀胱の中で増殖することによって起こります。

膀胱炎を引き起こす細菌は、大腸や直腸などに棲んでいる腸内細菌が大部分ですが、肛門やその周囲にも細菌は存在しています。



膀胱炎は原因によって種類があります。


「単純性膀胱炎」は一般的に「膀胱炎」と言われている、最も女性に多い膀胱炎です。

女性の尿道は男性に比べて短く、4~5cmしかないため、細菌が膀胱内に侵入しやすいのです。

機能的・形態的に尿路に異常のない人で、細菌が原因で起こる感染性膀胱炎です。

女性では尿意をガマンしたり、冷えやストレス、疲労が原因で起こります。

また、妊娠や性交渉、月経も誘因となって発症することがあります。

症状としては頻尿、排尿痛、残尿感などです。

排尿痛は、排尿終わりに痛みが強いことが特徴的です。


「複雑性膀胱炎」は、尿路や全身の基礎疾患を有する慢性膀胱炎です。

形態的な尿停滞、カテーテルなどの異物、尿路周囲の癌、前立腺肥大症あるいは全身的抵抗力の低下が基礎疾患となることが多いです。

複雑性膀胱炎は、これら基礎疾患を除去しなければ、膀胱炎は完全には治癒しないといわれています。

そのため、単純性膀胱炎と比べて、基礎疾患があるかどうかの鑑別が非常に重要です。

症状はないか、あっても弱い場合が多いですが、急に症状が強まったり、発熱や腰痛がある場合には要注意です。


「間質性膀胱炎」は、原因不明の膀胱粘膜の萎縮をきたす病気です。

症状としては、頻尿と尿意切迫感が特徴的で、尿がたまってくると下腹部に痛みが生じることもあります。


「出血性膀胱炎」は、血尿を主訴とする非細菌性の膀胱炎です。

多くはウイルス感染またはウイルス感染に伴うアレルギー性炎症により起こります。

ウイルスによるもの以外に抗癌剤の副作用で起こることもあります。


「腎盂腎炎」は、膀胱のさらに奥の腎盂にまで細菌が感染し、腎臓にまで炎症が及んだものを指します。

腎盂腎炎では、発熱と腎臓周囲の痛み、腰痛がみられます。

また、悪心、嘔吐などの消化器症状を伴い、全身倦怠感が強いことも特徴です。


膀胱炎は放置しておくとどんどん痛みが増し、重症化する可能性もあります。

特に間質性膀胱炎、腎盂腎炎の症状に心当たりのある方、症状が強く現れる方は、できるだけ早めに泌尿器科を受診しましょう。


それでは、また良い1日を。山内