2020年12月18日金曜日

よい睡眠と仕事の関係

みなさん、こんにちは

保健師 竹田です。

寒い日が続いていますね。日本海側での大雪による影響も心配です。まだ寒くなるようですので、体調管理に一層気をつける必要がありそうです。


今日は仕事と睡眠の関係についてお話します。

日本人の睡眠時間は先進国のなかでもかなり短く、睡眠の悩みを抱えている人は少なくありません。

厚生労働省の統計によると、日本人の睡眠時間は年々減少傾向にあり、睡眠で休養が十分にとれていないと答えた人の割合は21.7%に上ります。さらに就業時間が長いほどその割合が高いことがわかっています。



睡眠が不足すると

  • 日中の眠気やだるさ
  • イライラ
  • 集中力、注意力、判断力の低下
  • 作業に時間がかかる
  • 生産性が低くなる

覚醒時間と作業能力の関係は深く、起きている時間が長ければ長いほど、作業能力が落ちていきます。睡眠不足により労災リスクは8倍になると言われており、日本の経済損失は年間15兆円に上るという試算もあるほどです。

「2週間にわたって睡眠を6時間以下に制限すると、2晩徹夜したのと同じくらいパフォーマンスが落ちる」という研究結果もあり、生産性向上を追求するなかで、社員の睡眠にまで関心を向けるようになってきた企業も増えていると考えられます。


良い睡眠をとるポイント

ベッドで「寝る以外のこと」をしない

睡眠不足の人は、ベッドに入ってから本を読んだりスマートフォンをいじったりして、すぐに寝るつもりでベッドに入っていない、という傾向があるようです。

人間の脳は、場所とそこで行った行為をセットで記憶する特徴があるので、ベッドでスマートフォンを見たりすると、脳は「ベッドは情報をインプットする場所」と覚えてしまい、寝付けなかったり眠りの質の悪さにつながります。「ベッドは眠るだけの場所」という正しい記憶を作っていくことが大事だとのことです。

帰宅後ベッド以外でのうたた寝をしない

睡眠不足の人は朝9時前や21時から24時の間にベッドでない場所で寝ていることがわかります。朝は通勤電車の中、夜は自宅のソファなどでうたた寝をする、という方は多いのではないでしょうか。特に夜の仮眠は、ベッドで本格的に寝ようとしたときになかなか寝られないという問題を引き起こすため、やめたほうが良いようです。

昼過ぎに眠気を感じたら昼寝

夜によく眠れていたとしても、人間の睡眠と覚醒のリズムの問題で、昼過ぎの時間帯に眠気を感じるのは仕方がないこと。こういうときにカフェインを摂取して我慢する人は多いと思いますが、それは眠気を感じなくするだけで、疲れを取るという根本的な解決にはなりません。ここで短い仮眠をとるのが理想的な眠気の解消の仕方です。

起きる時間を一定に

良い睡眠をとる上で、ベッドに入る時間を規則正しくしようとは、あまり考えなくても良いそうです。「まだ寝る時間ではないから」と眠いのを我慢して起き続けていると、眠気のピークを過ぎて逆に眠れなくなってしまうこともあります。

「早く眠くなったら早くベッドに入る」ということ。これは日頃の睡眠負債をしっかり解消することにもつながります。また、ベッドに入る時間が遅くなったとしても起きる時間が一定に保たれているのも、大事なポイントです。


睡眠時間を確保できる働き方も重要


働き方改革において勤務終了後から翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を設ける「勤務間インターバル制度」の導入が盛り込まれました。
「よく寝ることは組織全体にとっても良いことだ」という認識を広めるために、上司と部下、同僚同士のコミュニケーションで「眠れてる?」と声をかけあったりしてみるのも良いかもしれません。
寝つけない、熟睡感がない、十分に眠っても日中の眠気が強いことが続くなど、睡眠に問題が生じて、自らの工夫だけでは改善しないと感じたときには、早めに専門家に相談することが重要です。睡眠薬は、専門家の指示で使用しましょう。


今日も一生健命  竹田