2021年10月22日金曜日

効果的な水分補給を


 みなさん、こんにちは。

保健師 竹田です。

気温が下がり、寒い日が続いていますが体調は崩されてないでしょうか。空気の乾燥にも気を付けて過ごしましょう。

今日は健康のための水分補給についてお話します。

わたしたちの体の中には、たくさんの水分があります。体重1㎏あたりに含まれる水分量(体液量)は年齢によって違い、新生児でおよそ80%、成人男性で60%、成人女性で55%、高齢者では50%ほどと、年齢とともに減少していきます。

また、体内の水分量は、摂取と排泄により一定に調節されています。
例えば(比較的穏やかな環境で普通に生活している)体重70kgの成人男性では、1日のうちに2.5Lの水を摂取し、排泄するとされています。

体の調子は、入る水分と出る水分が一定に調整されていることでうまく整えられているため、このバランスが崩れると、体の不調をきたします。例えば、気温が高くなると汗をかくため出る水分が多くなります。出る水分と同じだけの水分が入らないと(補給できないと)、「脱水」の状態になります。



水の働き


物質の溶解

食事の中に含まれる栄養素は吸収しやすい形に分解され、代謝されます。代謝反応は水に溶けた状態で行われます。


物質の運搬

水分を含む血液やリンパ液は体内の物質を細胞まで運びます。また不要になった老廃物も尿から排泄されます。


体温調節

水は比熱(1g当たりの物質の温度を1度上げるのに必要な熱量のこと)の高い物質で、温まりにくく、冷めにくい性質があります。水は温度の変化が少ないので、体温を一定に保つことに役立っています。

例えば夏の暑いときや運動時に汗をかくのは、体熱の放散によって体内温度の上昇を防ぐためです。


一日の摂取目安は?


栄養素は食事摂取基準によって摂取量が決められていますが、水に関して基準値は設定されていません。しかし人の体にとって水は欠かせません。

水には口から飲む飲料水、食べ物の中に含まれる水の「摂取される水」と、体内で栄養素がエネルギーになるときに生成される「代謝水」があります。それらの摂取される水と代謝される水の総量は1日約2,400mlです。内訳は飲料水から約1,000ml、食事から摂取する水は約1,100ml、代謝水は約300mlです。

また、摂取した水分は尿、便や皮膚および呼吸から自然に蒸発している水分である不感蒸泄を含め1日約2,400ml排泄されています。尿量は約1,500ml、便は約100ml、呼気は約300ml、汗は約500ml排泄されます。

人の体は1日の水分出納を平衡に保っているため、水分摂取量で尿量が調節されます。夏のように暑く汗を大量にかくときは、その分の水分補給が大切になります。のどの渇きを感じた時はすでに、脱水が始まっている状態です。


効果的な水分補給


水分補給を行うタイミングは前述したように、のどが渇く前が理想的です。ただし、一度に多量の水分を摂取するとそのほとんどは吸収されず排出されてしまい、真水の単独多飲は水中毒(希釈性低ナトリウム血症)を起こすこともあるので、頻回に摂取することが望ましいとされます。

目安としてはコップ1杯程度の飲料を1日8回程度に分けて飲むなど、こまめな水分補給です。また、子供の場合は好きな時間、のどの渇きを感じにくいとされる高齢者の場合は時間を決めたり、起床時や就寝前といった生活リズムに合わせて行うのも有効です。

日常的な水分補給の飲料の温度は、体温に近い方が吸収がよいとされており、一般的にいう“白湯”がおすすめです。

飲料の種類に関しては、アルコール飲料は避けましょう。アルコール飲料には利尿作用があり、アルコールが体内で分解される際にも水分を消費してしまうため水分補給には適しません。
実際ビールを10杯飲むと、尿によって11杯分の水分が排出されてしまうと言われています。カフェイン飲料も利尿作用がありますが、日常的にカフェインを摂取している場合にはその影響は少なく、水分補給として有用だと報告されています。炭酸飲料や清涼飲料水も糖分の過剰摂取になりやすい面では十分な注意が必要ですが、水分補給源にはなります。

厚生労働省では「健康のために水を飲もう」推進運動として、就寝中の水分不足に備えて、夜寝る前と朝起きた後、それぞれコップ1杯ずつを飲むことを推進しています。枕もとに水分を置いておくのも良いでしょう。


今日も一生健命  竹田