保健師 竹田です。
暖かい日が続き、桜も少しずつ咲いているようです。
これからの天気が心配ですが、満開の桜の下でお花見したいですね。
世界保健機関(WHO)では、4月7日を「世界保健デー」と定め、この日を中心に、世界的に取り組むべき健康課題について考えてもらうための啓発活動が行われます。
2017年のテーマは、「うつ病」です。
本年のスローガンは「うつ病:一緒に話そう(Depression: Let’s
talk)」です。
うつ病について啓発し、うつ病対策(予防、診断、治療、ケア)を推進することを目指しています。
厚生労働省が3年ごとに全国の医療施設に対して行っている「患者調査」によると、平成26年に医療機関を受療したうつ病・躁うつ病の総患者数は112万人です。うつ病について啓発し、うつ病対策(予防、診断、治療、ケア)を推進することを目指しています。
厚生労働省では、うつ病を重要な健康問題としてとらえ、うつ病に関する情報提供、相談支援体制の整備、早期発見、社会的支援に至るまで、様々な対策を進めています。
うつ病は、一言で説明するのはたいへん難しい病気ですが、脳のエネルギーが欠乏した状態であり、それによって憂うつな気分やさまざまな意欲(食欲、睡眠欲、性欲など)の低下といった心理的症状が続くだけでなく、さまざまな身体的な自覚症状を伴うことも珍しくありません。
原因は
さまざまな研究によって分かっていることは、「うつ病を引き起こす原因はひとつではない」ということです。
非常につらい出来事が発症のきっかけになることが多いのですが、それ以前にいくつかのことが重なっていることも珍しくありません。
まず最もきっかけとなりやすい「環境要因」ですが、大切な人(家族や親しい人)の死や離別、大切なものを失う(仕事や財産、健康なども含む)、人間関係のトラブル、家庭内のトラブル、職場や家庭での役割の変化(昇格、降格、結婚、妊娠など)などが要因となります。
また「性格傾向」も発症要因のひとつです。
脳のエネルギーが欠乏した状態をうつ病と考えると、義務感が強く、仕事熱心、完璧主義、几帳面、凝り性、常に他人への配慮を重視し関係を保とうとする性格の持ち主は、エネルギーの放出も多いということになります。
その他「遺伝的要因」、「慢性的な身体疾患」も発症要因のひとつです。
脳の中では神経細胞から神経細胞へさまざまな情報が伝達されます。その伝達を担うのが「神経伝達物質」というものです。
なかでも「セロトニン」や「ノルアドレナリン」といわれるものは、人の感情に関する情報を伝達する物質であることが分かってきました。
前述のさまざまな要因によって、これらの物質の機能が低下し、情報の伝達がうまくいかなくなり、うつ病の状態が起きていると考えられています。
うつ病の前兆の状態
1.喜びや楽しみを感じない
2.何か良いことが起きても気分が晴れない
3.趣味や好きなことが楽しめない
うつ病はこうした症状が2週間以上継続する状態をいいます。早い時点で自覚できれば、発症を未然に防げる可能性も高くなります。
ただ、こうしたうつ病を代表とするメンタルヘルス疾患は生活習慣病にもたいへん類似しており、日々生活をしている中で、なかなか自覚しにくいという難しい点があるのも確かです。
予防法は?
1.思考を変える
思考パターンが不適応思考のパターンになっていないかどうかをチェックして、少しずつ変化させていくとよいでしょう。
不適応思考チェック
□問題解決のための十分な知識を持っているか?
□思考が一面的になっていないか?
□人の意見に左右されすぎていないか?
□思考が感情に左右されていないか?
□自分の立場に不利な思考を遮断していないか?
□過去の経験によって培われた認知パターンに縛られていないか?
□権威の言うことに影響されすぎていないか?
□自分の思考にとらわれて、思考が固定化していないか?
□考えずに、知識で解決しようとしていないか?
2.食生活を整える
うつ病を予防するには、セロトニンのベースラインを高めておくことも役に立つはずです。セロトニンは、トリプトファンという物質からつくられます。
トリプトファンは、肉類をはじめとして、納豆、たらこ、チーズ、牛乳などに多く含まれています。
3.太陽光を浴びる
うつ病の中には、冬季に起こるタイプの冬季うつ病というものがあります。日照時間が減少することが影響していると考えられています。
冬季に起こる季節性うつ病の治療には、照明装置で強い光を浴びる「高照度光療法」が用いられることがあります。光を浴びることで、体の状態を整えていこうとするものです。睡眠障害の人にも光療法は用いられます。
ただし、どんなに一生懸命に予防をしていても、何らかの要因が重なって、うつ病になってしまうことは少なくありません。
うつ病をそのままにしておくと、不眠や食欲不振に陥り、うつ病を悪化させる「負のスパイラル」に入ってしまうことがあります。
うつ病を悪化させる前に、早めに医療機関を受診しましょう。
今日も一生健命 竹田