2023年4月13日木曜日

腸内環境を整える

 みなさん、こんにちは。

保健師 竹田です。

4月になり、進級や進学、就職など新しい環境になった方も多いのではないでしょうか。心身ともに不安定になりやすい時期です。規則正しい生活を基本に、少しでもゆったり休める時間を確保しましょう。

今日は腸内環境についてお話します。

腸内環境とは


主に大腸には約1000種類、100兆個にも及ぶ腸内細菌が生息しています。ヒトの腸内細菌は、善玉の菌と悪玉の菌、そのどちらでもない中間の菌と、大きく分けて3グループで構成されています。これらの菌は互いに密接な関係を持ち、複雑にバランスをとっています。腸内細菌の中で一番数が多い菌は中間の菌で、次に善玉菌が多く、悪玉菌は少数です。

腸内細菌の種類は個人によって極めて多様で異なり、さらに食事・在住国などの要因によっても異なるとされています。また、菌の数は年齢によって増減はあるものの、菌の種類は一生を通じてほとんど変わらないことも報告されています。
例えば抗生物質や食中毒では腸内細菌は大きく変動しますが、時間の経過とともに元に戻るとの報告があります。


腸内環境の改善が必要なときは


腸内環境を改善すべきなのは、絨毛が薄くなってしまったときや悪玉菌が増殖しているときです。栄養素の吸収・全身の免疫機能の大半を司る小腸の粘膜には絨毛と呼ばれる突起があります。健康的な腸の粘膜には無数の絨毛があり、ふかふかしたじゅうたんのようになっています。
絨毛の突起が多ければ多いほど腸内粘膜の表面積が増加し、吸収できる栄養素の増加が促されます。また、粘膜の面積に比例し外界からのバリア機能が高まるため細菌やウイルスの侵入を防ぎ、ストレス耐性も高まります。過度な食事制限、絶食などで吸収するべき栄養素が送られず、腸への刺激が少なくなると、それに比例して絨毛は少なくなってしまいます。


悪玉菌が増えると起こること


悪玉菌が腸内で優位になると、腸の動きが阻害されることで食べたものが消化吸収されにくくなります。すると、老廃物が腸内にたまりさまざまな不調が起きやすくなります。腸内環境を構成する菌は個人差が大きいため、疾患の原因ともなります。


  • 便秘、下痢、ガスだまり
  • 肌荒れ、吹き出物
  • 口臭、体臭、おならの悪化
  • ストレス、イライラ、気力の低下



腸内環境を整えるメリット


  • 太りにくくなる

便秘により悪玉菌が多くなると、腸の働きが悪くなり、腸内に老廃物が溜まりやすくなります。
その結果、悪玉菌が老廃物を分解して作り出した有害物質が腸壁から血中に吸収され、血液がいわゆるドロドロ状態になり、血流が停滞してしまいます。血流が停滞したドロドロ血液の状態では栄養は細胞に吸収されにくく、脂肪として蓄積されて、皮下脂肪や内臓脂肪となってしまうのです。よって、腸内環境を整え、効率よく栄養を吸収することがメタボ解消に繋がります。


  • ストレスを感じにくくなる

自律神経には、活動時や緊張している時に働く「交感神経」と、休息やリラックスしている時に働く「副交感神経」の2つがあります。この2つはシーソーのようにバランスをとりながら働いています。
胃や腸は「副交感神経」が優位になる時間に消化が活発になりますので、ストレスがかかって「交感神経」が優位になると腸の動きが悪くなり、腸内環境も乱れてきます。ストレス耐性を上げ、ストレスを感じにくくさせるためにも、腸内環境を整えることが大切です。


  • アレルギー反応を起こしにくくする

アレルギーは、体の中に侵入してくる異物を排除する免疫機能がうまく働かないことで起こります。この免疫機能を保つために重要なのが「免疫細胞」です。
免疫細胞の7割は腸に存在しており、腸内環境が乱れて、悪玉菌が増えると、免疫細胞が上手く働かず、アレルギー反応が起きやすくなります。花粉症アレルギーがある方は、腸内環境を整えることも免疫力アップにつながります。


腸内環境を整えるには


食事の見直し

腸内の善玉菌を増やす方法の1つが、善玉菌のエサとなる食物繊維をたっぷり摂ること。日本人の多くは食物繊維が足りていないので、意識的に摂取することが大切です。
食物繊維は、水に溶ける「水溶性食物繊維」と水に溶けない「不溶性食物繊維」に大きく分けられます。善玉菌のエサになりやすいのは水溶性食物繊維なので、善玉菌を増やしたいなら、果物や海藻類、大麦など、水溶性食物繊維を多く含む食品を積極的に摂るようにしましょう。

運動

腸内環境を整えるには、腸そのものを動かす習慣をつけることも重要です。適度な運動は、体を振動し筋肉も動かすので、腸内の便の動きをサポートしてくれます。便を送り出すためには、腹筋や、体の深部にある腸腰筋が後押ししてくれるので、ウォーキングなど下半身の運動を増やすよう心がけましょう。
また、十分な睡眠や朝食を摂ることでも、腸内のリズムが整います。朝の目覚めに一杯の水や白湯を飲むと、大腸の反射を促すことができるのでおススメです。


今日も一生健命 竹田