保健師 竹田です。
年末年始はゆっくり過ごせましたか?仕事・学校も始まりましたが、規則正しい生活を心がけ徐々に日常生活を取り戻しましょう。
例年1月末から2月初旬は、1年で一番寒い時期です。この時期になると、気分が落ち込んでやる気が出なくなる人が少なくありません。
このような季節性の抑うつ気分が、「冬季うつ(ウインター・ブルー)」です。女性や若年者に比較的多いとされています。またうつ病の人の10-20%が冬季うつを経験するともいわれています。冬季うつの特徴は、「過食」「過眠」そして「体重増加」。食欲不振や不眠になることが多い一般のうつとの大きな違いです。
一般的なうつ病と冬季うつの違い
うつ病
食欲:低下傾向
睡眠:不眠傾向
体重:減少傾向
冬季うつ
食欲:過食傾向
睡眠:過眠傾向
体重:増加傾向
共通点:気分の落ち込み・気力減退・物事を楽しめない・イライラする・倦怠感など
冬季うつが起こるメカニズム
冬季うつが起こるメカニズム
冬季うつは、秋冬の日照時間の短さが関係していると考えられています。
日光を浴びる時間が減ることで脳内のメラトニン分泌が遅れて睡眠層が後退してしまい、リズムが後ろにずれることで心身に影響が出ると言われています。
またメラトニンレベルが1日を通して高くなり、日中のメラトニン増加が心身の不調と関連しているとも考えられています。
そしてメラトニンの影響にあわせて、セロトニンの働きの異常につながるのではと考えられています。
皮膚では、紫外線からビタミンDが作られますが、このビタミンDはセロトニンの合成に必要になります。このため冬季は日照時間が短くなりますから、ビタミンDが低下してセロトニンレベルは低くなります。
ホルモンや神経伝達物質の変化が冬季うつとどのように関係しているかは解明されていませんが、影響の受けやすさに個人差があるのかと思われます。
積極的に光を浴びる
特に冬場は、太陽の光を浴びる時間を意識的に増やすことをおすすめします。
最近はコロナ禍の影響で自宅で過ごす方も多いですが、日があるうちに家の周りを一周するなど、無理なくできるアイデアを取り入れてみましょう。曇り空でも、日光は体に届いています。
規則正しい生活をする
冬季うつには「体内時計」の乱れも深く関係しているといわれています。日照時間が短くなる冬は、どうしても「時差ぼけ」のような状態に近くなります。できる限り就寝時間・起床時間を決めて、リズムのよい日々を送るように心がけましょう。
トリプトファンを多く含む食品をとる
肉、魚、大豆などのタンパク質にはセロトニンの生成に必要な必須アミノ酸のひとつ、「トリプトファン」が多く含まれています。冬こそ、意識して摂るようにしましょう。またビタミン、ミネラルなどの栄養素を十分に摂取することが大切です。
有酸素運動を取り入れる
ウォーキングなど一定のリズムで行う適度な有酸素運動は、セロトニンの分泌を促すほか、交感神経活性を抑え、回復と癒しの神経である副交感神経を優位にすることがわかっています。
不調が続いたり、生活に支障がでている場合は冬季うつに似た症状の他の病気の可能性もあるので、医療機関の受診をお勧めします。
今日も一生健命 竹田