2023年7月6日木曜日

効果的な水分補給を

みなさん、こんにちは。

保健師 竹田です。

梅雨明けはもう少しというところでしょうか。不安定なお天気が続きますが、冷房も効果的に使いながら過ごしましょう。

今日は効果的な水分補給についてお話します。

一般的に、人の1日の水分出納は約2.5Lです(尿:約1,500ml、不感蒸泄(呼気や皮膚から失われる水分):約900ml、便:約100ml)。夏場は汗をかく分、意識して水分の摂取を心がける必要があります。

水分補給として一度に大量の水を摂取すると、かえって体内の電解質バランスを崩して体調不良を引き起こしてしまいます。飲む量は、かいた汗の量を目安にし、汗で失われる塩分(ナトリウム)もきちんと補給しましょう。

喉が渇くメカニズム


体液にはナトリウム(塩分)や、マグネシウム、カリウム、カルシウムなどの電解質が溶けています。臓器や筋肉を動かすには微細な電気が必要で、体が快調に動き、いろいろな臓器が活発にはたらくためには電解質が豊富な体液が必要です。

浸透圧は電解質や糖質からなり、通常体液の浸透圧はほぼ一定に保たれています。尿、汗などで体重の1%程度の水分が失われるだけでも、血液の浸透圧が高くなり、私たちは自然にのどが渇いたと感じるようになっています。そこで水分を補給すると、体液の浸透圧が一定に保たれ、のどの渇きが和らぎます。

脱水の症状



汗をかいたり、水分補給が少しでも不足すると、体液が減り体調に変化がみられます。なかでもふらつき、めまい、微熱などの症状が現れると、「脱水症」と呼ばれます。脱水症の症状をひと言で言えば体調不良です。夏バテや二日酔いも体の渇きが原因の体調不良であることが多いのです。特に元々水分が多い脳、胃や腸などの消化管、そして筋肉の三つのはたらきが最初に悪くなり、様々な症状がみられます。
軽度の脱水症の場合は水分補給で回復することが多いのですが、回復しなければすぐに医療機関にかかりましょう。



脱水症を起こしやすいのは



体液が体重に占める割合は、年齢とともに変わります。生まれたての赤ちゃんは90%とみずみずしいのですが、小児は70~80%、成人は60%と、成長とともに減ってきます。
高齢者になると50%まで減って、のどの渇きを感じるセンサーの働きが低下していて日常的に水分不足のリスクにさらされてます。そのため、失った水分が少しであっても脱水症を起こしやすいのです。
また、乳幼児は体液の割合は高くても、不感蒸泄量が多く、また尿を濃縮する力が未熟なために尿量が多く、水分不足を起こしやすいのです。のどが渇いたことを伝えることができない乳幼児が、機嫌が悪い時や泣いてばかりいる時は水分不足が原因のことがあるので要注意です。


効果的な水分補給



日頃の水分補給の基本は、まず食べることです。水分を一気にたくさん飲んでも尿として出ていき、体内に貯められません。ある程度貯めることができるのは食べ物に含まれる水分であり、食事をきちんと摂ることが大切です。
そして、筋肉には水分が多く含まれるため、運動によって筋肉量を増やすことも脱水症の予防に役立ちます。

水分を摂取する時の温度は、熱中症などで体が熱い時は冷たい飲料が適していますが、日常では自分の飲みやすい温度で飲んでください。
のどが渇いたと感じたら、体は渇き始めています。のどが渇く前にこまめに水分を補給しましょう。30分に1回、コップ1杯(180~200mL)が目安です。
暑い環境下や運動時は、電解質が含まれた水分が望ましいです。ウオーキングや家庭菜園など軽い運動も同様です。汗が出ていなくても筋肉を動かすと水分が使われ、呼吸や皮膚から出ていくため、水分補給が必要であることを覚えておきましょう。

水分補給に役立つ飲料



体液は水分と塩分からできているので、真水だけで水分補給すると必要以上に体液が薄まることがあります。水分補給に代表的なのがスポーツドリンクのような飲料です。
また、それは浸透圧の違いにより、アイソトニック飲料やハイポトニック飲料に分けられ、どのような時に適するか、それぞれの特徴があります。

  • ハイポトニック飲料
体液よりも低い濃度の糖分、電解質を含む飲料です。人間の体液と比べて浸透圧が低く、水分の吸収が速いとされています。そのため、運動中や運動後で水分補給が早急に必要な場合には、ハイポトニック飲料が適しているといわれています。

  • アイソトニック飲料
体液と同じ濃度の糖分、電解質を含む飲料です。体液と同じくらいの浸透圧であるアイソトニック飲料では、ゆっくりと水分が体に吸収されます。飲みやすくするために糖分が多く含まれるものがありますが、エネルギーも高くなりますので摂り過ぎには注意しましょう。

  • その他
経口補水液は、脱水症の治療を簡便に行うべく開発されたものです。
脱水状態時の水分補給に重きを置いた成分設計になっており、ハイポトニック飲料やアイソトニック飲料などよりも電解質の濃度が高い(塩分濃度が高い)などの特徴があります。脱水症状が起こった場合、病院では主に点滴による水分補給が行われますが、点滴より簡便な経口補水液による治療が普及しつつあります。


今日も一生健命 竹田