2017年11月17日金曜日

意外と恐い下肢静脈瘤

皆さん、こんにちは。
保健師 近藤です。

すっかり紅葉のシーズンですね。いつのまにか、クラレの桜の木も赤く色づいています。一度は紅葉シーズンに京都に行ってみたいなという憧れはあります。


最近、紅白に関するニュースをみると、年末を感じます。酉年もあと少しで終わりです。


今日は女性の方に多い下肢静脈瘤について話したいと思います。

【下肢静脈瘤について】

下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)は足の血管の病気です。下肢とは足のことで、静脈瘤は血管(静脈)が文字どおりコブ(瘤)のようにふくらんだ状態のことをいいます。
下肢静脈瘤は、40歳以上の女性に多く認められ、年齢とともに増加していきます。

 日本人では15歳以上の男女の43%、30歳以上では62%もの人に静脈瘤が認められたとの報告もあります。

最近(2005年)の40歳以上を対象とした調査では、全体で8.6%(男性3.8%、女性11.3%)に認められ、患者数は1000万人以上と推定されます。
また、出産経験のある女性の2人に1人、約半数の方が発症するというデータもあり、下肢静脈瘤はまだまだ認知はされていませんが、実は身近な病気なのです。


【なりやすい方・原因】

●高齢者   ●女性
●家族に下肢静脈瘤   ●妊娠
●出産歴   ●立ち仕事
●肥満    ●便秘

遺伝性があり、両親とも下肢静脈瘤の場合には将来的にはその子供も90%発症するというデータもあります。
また、妊娠時にはホルモンの影響により静脈が柔らかくなって弁が壊れやすくなるため発症しやすくなります。
下肢静脈瘤は目で見た太さによって伏在型(ふくざいがた)・側枝型(そくしがた)・網目状・くもの巣状の4種類に分類されます。

【症状について】

下肢静脈瘤の症状はほとんどがふくらはぎにおこります。足に血液がたまることによっておこるので、午後から夕方に症状が強くなるのが特徴です。

脚の静脈がポコポコと拡張して目立つ
(特にふくらはぎの内側に多く見られますが、太ももの前面や内側、時に裏側、ふくらはぎの裏側にも見られます。目立つし、スカートが履けない、夏の暑い時期のゴルフでも短パンになれない)
脚がむくむ
(特に夕方から夜、パンパンに腫れている感じ・・・)
脚が重苦しい
(特に夕方の階段登りがつらい・・・)
脚がよくツル
(布団に入ってさあ寝ようとした途端、いててて・・・)
脚がしびれる
(なんだかいつも足の裏がしびれているような・・・)
皮膚が黒くなってくる
(塗り薬を塗っても全然良くならない・・・)
皮膚が硬くなってくる
(しかもかゆいし、そこだけ色が黒っぽいし、塗り薬が効かない・・・)
皮膚に潰瘍(かいよう)ができる
(最初は小さな傷だったのに、だんだん大きくなってきてなかなか治らない・・・)

静脈が大きく膨らむのは、重力で沢山の血液が静脈の中にいつも入り込んできているためです。
むくみや重苦しさは、静脈の血液が足の中に大量にあるために静脈の圧が上昇して、血液の中の液体成分が血管の外に漏れ出してしまうためです。その他の症状は、静脈の血液が、素直に心臓や肺に戻らず、足の中でグルグルと循環してしまい、乳酸がたまって酸素が減った濁った血液がいつまでも足に残ってしまい、炎症が起きやすくなったり、傷の回復が遅れるためです。



 一般的に症状があり、手術が必要になるのは伏在型静脈瘤だけであり、他の3種類は軽症であまり心配のない静脈瘤です。


潜在型はボコボコと大きい静脈瘤が目立ったり、足のだるさやむくみなどの症状がおこり、重症化して手術が必要になることがあります。


立ち仕事、特に1ヶ所に立ってあまり動かない仕事(調理師・美容師・販売員など)は発症しやすく、特に1日10時間以上立っている人は重症化しやすい傾向にあるので注意が必要です。

•立ち仕事を避けること
•肥満にならないこと

ということになります。しかし、立ち仕事を避けるということに関しては、職業がたとえば、美容師さんだったり、調理師さんだったりすれば無理な話です。ではそうした場合、予防は出来ないのでしょうか。
【下肢静脈瘤の予防】 

数時間に一度、足を椅子の上に乗せたりして横にするような体勢をとる
1時間に1回、足の指でグーパーを10回繰り返す
弾性ストッキングを着用する

などの方法があげられます。

つまり、短時間でもいいので静脈の弁にかかる負担を減らしておくことです。そして足の血流は足の指をグーパーするというごく小さな運動で格段に良くなります。さらに、どうしても長時間にわたって立ち仕事が連続する場合は、弾性ストッキングで静脈が拡張するのを止めておくのです。弾性ストッキングは、弱圧の薄手のものでもかまいません。

長時間の立ち仕事の後に、

•足がむくむ
•足がだるい

などの症状があるようでしたら、下肢静脈瘤の予備軍です。一度弾性ストッキングを試されるとよいと思います。夕方から夜にかけて症状が軽減されます。
実際に立ち仕事の多い方は、この弾性ストッキングを着用することによって、静脈瘤を予防することができます。
その他にも、立ち仕事の多い方はじっとしているのではなく、できるだけ足を動かしたり運動したりするのがよいのではないかと思います。じっとしているとどうしても足元に血液が溜まりやすくなりますが、動いていれば多少はその血液の停滞を防ぐことができるからです。


今週末から寒くなるみたいです。皆さん、体調にはお気をつけて週末をお過ごし下さい。
では、次回まで
See you again!!!