2017年3月10日金曜日

腎臓を守るために

みなさん、こんにちは。

保健師 竹田です。

風が強く、寒い日が続いていますね。寒の戻りとか。

体調を崩さないようくれぐれもご注意下さい。

3月13日は世界腎臓デーです。



腎臓病は発症・進展に生活習慣が関わっており、生活習慣の改善や薬物療法などにより進行予防が可能な病気ですが、現状では腎疾患患者は増加傾向にあります。
世界腎臓デーは、増え続けている腎臓病を防ぐため2006年に定められました。

この日を中心に、腎臓病の治療と対策を啓発するイベントが各地で展開されています。
そして、腎臓病の早期発見と対策のために慢性腎臓病という新しい病気の概念もうまれました。  
慢性腎臓病は、腎臓の働きが健康な人の60%以下に低下するか、あるいはタンパク尿が出るといった腎臓の異常が続く状態をいいます。

慢性腎臓病で腎臓の機能が10%以下にまで低下すると、人工透析や腎移植を受けなければいけません。
さらに慢性腎臓病は、透析になるだけではなく、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の重大な危険因子になります。腎臓を守ることは、心臓や脳を守ることにつながります。

現在、日本には約1,330万人の慢性腎臓病患者がいるといわれています。
これは、成人の約8人に1人にあたる数です。また、人工透析を受けている患者さんも、すでに26万人を超えており、その数は毎年1万人ずつ増え続けています。

腎臓病の発症・進展には、生活習慣が多く関わっています。慢性腎臓病を検査で早い段階で発見し、治療を開始し腎機能の低下を抑えることが大切です。

予防・治療は?

慢性腎臓病を防ぐために自分で検査値をチェック 

慢性腎臓病は、重度になるまで自覚症状はほとんどありません。貧血、疲労感、むくみなどの症状があらわたときには、病気がかなり進行している可能性があります。

早期発見し治療を開始するために、尿中のタンパク質の濃度を調べる尿検査と、血液中のクレアチニンを調べる血液検査を定期的に受けることが必要です。

クレアチニンとは血液中の老廃物のひとつで、通常であれば腎臓でろ過され、ほとんどが尿中に排出されます。しかし、腎機能が低下していると、尿中に排出されずに血液中に蓄積されます。この血液中のクレアチニンが「血清クレアチニン値」です。
 慢性腎臓病の診断の指標となる検査値が「GFR値(糸球体ろ過量)」で、1分間に腎臓の糸球体をろ過してできる原尿の量を示しています。90以上が正常。50未満になると腎臓機能が低下していると診断され、専門医の治療が必要となります。

GFR値の自動換算はこちらhttp://j-ckdi.jp/ckd/check.html

こんな人は要注意

肥満、運動不足、飲酒、喫煙、ストレスなどの生活習慣は、慢性腎臓病の発症に大きく関与しているといわれています。
また、最近注目されているメタボリックシンドロームでも、慢性腎臓病の発症率が高まることが分かっています。 





慢性腎臓病の治療の目的は、透析が必要な末期腎不全への進行を遅らせることと、心血管疾患になるのを防ぐことです。
そのためにも、まず生活習慣の改善が重要です。肥満の是正や減塩を心がけ、規則正しい食事、腎機能が低下した場合には低たんぱく食を摂りましょう。

たばこを吸っている人は禁煙に努めてください。高血圧や糖尿病などの生活習慣病がある人は、医療機関を受診してきちんと治療をしておくことが大切です。

基本となるのは原因に対する治療で、高血圧症や糖尿病の人は食事療法や運動療法とあわせて、必要に応じて薬物療法を行い、血圧や血糖値を適正にコントロールすることが腎臓病の予防・改善につながります。

また、慢性腎臓病の予防には血圧の管理と尿検査が重要になります。家庭血圧計や尿試験紙も市販されていますので、ふだんから、家庭でもこまめに血圧をチェックし、定期的に尿検査をすることをお勧めします。
この機会に自分の検査値を知って予防に役立てましょう。


今日も一生健命  竹田